〜4〜

「進藤ヒカルっ!」
怒鳴りつけたぼくの声に進藤は驚いたように顔を上げ、一瞬きょとんとした顔になった。
ぱっと見わからなかったらしく、知らない人を見るような目でぼくを見つめた後ではっとしたように顔色が変る。
「って……嘘、なんでと……」

塔矢と進藤の口がぼくの名前を言う前にぼくは持っていたバッグで進藤の横っ面を思い切り殴りつけた。

「この浮気者!」
「わっ」

バシッとかなり派手な音がして体が仰け反るのを容赦なく何度も殴りつける。

「よくもいつも嘘ばっかり!」

ビシッ、バシっとぼくが彼を殴る音は店中に響き渡り、けれど店員も、彼と一緒に飲んでいる皆も凍り付いたように見つめているばかりで身動き一つしない。

「すげ…」

どこかでそんなつぶやきが聞こえるくらいぼくは情け容赦無く彼を打ち続け、そしてバッグの柄が取れた所で最後に一発、彼の顔面に壊れたバッグを叩き付けた。

「もう…どうでも好きにしろ!」
捨てぜりふのように言うと踵を返して、ぼくは店の出口に向かった。
しんと静まりかえってしまった店の中、誰もぼくを止める者はいず、ただひそひそと囁き声だけが波のように広がっていった。
文:しょうこさん
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