〜2〜

姿を変えてぼくが向かったのは六本木にある居酒屋風のダイニングバーだった。
和食系の創作料理が楽しめるというその店で、今日は若手の飲み会が開かれているはずで、正確にはコンパのようなものらしいそれには男6人に短大生の女の子6人が参加していた。
そしてその男6人の中には進藤も混ざっているのだった。
「ごめん、今日飲み会あるから帰り遅くなる」
友人の多い彼は元々よくそう言って飲みに行くことが多かったのだけれど、最近それはとみに多くなり、それと共に彼の携帯には囲碁にはなんの関係も無い女性からの電話がかかってくることが多くなった。
飲み友達と、進藤は別になんでもないよと言ったけれど、ある時ふと不安に駆られて見た彼の携帯にはかなり親しげな女性からのメールがたくさん入っていて、中には飲み会の最中に撮ったのだろう見知らぬ女性と彼がキスをしている写真もあった。
酔ってのことだし本気では無い。
そう自分に言い聞かせたけれど、それでも腹の底から沸き上がってくる怒りは押さえられなかった。
だってぼくと彼は恋人としてもう一年以上前から同棲をしていたからだ。
そのぼくが居るのに不特定多数の女性と遊び歩いている。あまつさえキスまでしているのだとしたらそれは許せる範疇を越えていた。
余程問い質してやろうかと思い、けれど携帯を盗み見てしまった後ろめたさからそれも出来ず悶々とした日々をぼくは過ごすことになった。
もちろんその間も進藤はぼくに非常に優しかったし、
求める時も本気で求めているのはわかった。本気でぼくに欲情し、本気でぼくを愛している。
なのにどうして女性と遊ぶのか、それがどうしてもぼくにはわからない。
どんなに愛し合っていても男と女ではやはり違う。
その違っていて満たされない部分を女性と遊ぶことで満たしているのかと思ったら納得は出来なくも無いが情けなくて死にそうになってしまった。
(もし一時的なものなら問いつめないで許す)
けれどこのままいつまでも浮気未満を続けるようならこちらにも考えがあると、そう思った時に彼はまた飲み会があるとぼくに言ったのだった。
「また? 今度は誰と飲むんだ?」
「えー…、門脇さんとかあそこらへんのいつものメンバーだよ」
あまりいつもは追求しないぼくが突っ込んだことを聞いたので進藤は少し驚いたようだった。
「どこで飲むんだ?」
「…新宿。なに? もしかして疑ってるん?」
「いや、ただこの頃飲みに行くことが多いなって」
「しないって、おれ絶対浮気なんかしてないから安心して」
そしてあやすようにぼくを抱き寄せると甘いキスを何度も繰り返した。

「なるべく早く帰ってくるから」
「いいよ別にゆっくりしてきて」
ただ、手合いに響く程は飲んでくるなと言うぼくにだめ押しのようにキスをして、それから進藤は機嫌良く出かけて行ったのだった。

文:しょうこさん
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