〜9〜
しばらくそうしていると体のすみずみにまで栄養が行き渡って、
アキラはすっかり元気を取り戻しました。
そこで命の恩人であるヒカルに感謝の気持ちを伝えようとしましたが、
おや、彼の様子が何だか変です。
覗き込んでみると顔色が蒼ざめていて、
脂汗を浮かべながら苦悶の表情を浮かべているではありませんか!
自分が蜜を取りすぎてしまったのだろうかと、
アキラの胸はドキドキしました。
でもそれは、オオカミの呪いのせいだったのです。
オオカミは、アキラがヒカルを見た瞬間に恋をしたのを目の当たりにして、
嫉妬の余り、ヒカルの髪を手に入れるやいなや
黒い魔法を使ったのでした。
強力な呪いをかける代償は、この国の民なら誰もが生まれつき持っている、
獣から人へと自在に変身する力です。
こんな大切なものと引き換えにしてでも、
オオカミはヒカルに復讐せずにはいられなかったのでした。
オオカミがヒカルにかけたのは、こんな呪いでした。
ヒカルが最愛の人とめぐり会い、愛を交わそうとすると、
敵を倒すために体内に備蓄された毒が自分の体に回って、
そのまま放って置けば死んでしまうのです。
それを避けるためには恋人の体に毒針を刺すしかなく、
そうなると傷口から毒が回って、
愛する人の方が死んでしまうことになるのでした。
この呪いが効果を発揮するのは一度だけ。
でもそれだけで、
ヒカルを不幸のどん底に突き落とすのには充分なのです。

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おとなむけ