〜10〜
おとなむけ
オオカミはヒカルの家に様子を見にやって来て、
二人を見てほくそ笑みました。
ヒカルは体に毒が回り始め、
アキラはわけがわからずにおろおろしています。
もっと苦しめてやろうと、オオカミは窓の向こうから叫びました。
「アキラ、こいつが苦しんでるわけを知りたいか?
オマエがおとなしくオレのものにならないから、
呪いをかけてやったんだ。
ヤツは自分の毒にやられて、もうすぐ死ぬよ。
だけど助ける方法はあるんだぜ。
オマエが針に刺されてやればいいんだ。
かわりにオマエが死んじまうことになるけどな」
アキラはヒカルの毒針を見つめました。
太くて長くて、先からはとろりとした毒液が滴って、
きらきらと光っています。
あんなもので刺されたら、毒がなかったとしても死んでしまうでしょう。
でもアキラは一瞬もためらいませんでした。
自分の柔らかい体で毒を受け止めて、ヒカルを助けようとしたのです。
アキラはヒカルと向かい合わせになると、膝の上に屈みこみました。
正面からしっかり抱きついて、自分から針を呑み込もうとしたのです。
ヒカルは慌ててアキラを引き剥がそうとしましたが、
毒で痺れた体では思うように力が入りません。
アキラが針を目掛けて腰を下ろしてくるのをかわすだけで精一杯。
そうこうする内に、アキラの脚の間の窪みに針の先端が触れました。
溢れた毒液でぬるぬるの針はそのまま中にめり込んで、
アキラの体重の助けを借りながらずぶずぶと潜り込んで行きました。


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