〜3〜
突然、アキラは後から羽交い絞めにされて、
そのままさらわれてしまいました。
連れて行かれたのは知らない家で、
左の手首と足首をひとまとめにくくられると、
重たい碁盤に繋がれてしまいました。
手足の自由を奪っている紐は丈夫な革で出来ていて、
いくら引っ張ってもゆるみません。

アキラを襲ったのはこの森のオオカミでした。
前からアキラのことを狙っていて、
囲碁好きなのを利用して罠にかけたのです。
オオカミは自分のねぐらへアキラを連れ込むのに成功すると、
弱らせて抵抗できなくするために、
碁盤に繋いだままにしておきました。
食べ物も水も与えず、
自分はアキラの目の前で贅沢な食事をしてみせて、
「何でも言う事を聞きます」と
懇願してくるのを待っていたのです。
でもアキラが屈することはありませんでした。
オオカミを睨みつける眼光の鋭さは
日毎に弱っていきましたが、
一言も声を出さずに頑張り続けていたのです。