〜14〜

やがて時が満ちたので、
オオカミは二人を腹の外へと出してやりました。
この世界では眠りは存在しないはずなのに、
ヒカルもアキラもこんこんと眠っています。
オオカミはつくづくと小さなウサギを眺めました。
ミツバチに寄り添って眠る姿に、今では何の欲も感じません。
ただ膝に砂がこびりついているのが気になって、
掌でそっと擦り取ってやりました。
それがくすぐったかったのか、
ふいにアキラが身じろぎをしたその瞬間、
オオカミの脳裏にピンクの上着と白いしっぽが浮かび上がりました。
可愛くて色っぽいウサギのアキラ。
野原にいるとピンクの花のようで、
どれだけ眺めても飽きることがありませんでした。
それなのに今は、こんな味気ない場所に横たわっているなんて。
オオカミはアキラを憐れに思って、心が震えました。
・・・おや?
すると突然、二人の周りに花が咲き始めたではありませんか!

太陽が雲間から姿を現し、そよ風が頬を撫ぜ、
どこかでせせらぎの音が聞こえます。
誰かが小さく溜め息をついたのが耳に入り、
それがアキラの可愛らしい口からこぼれたのだと気がついた時、
オオカミは唐突に、激しい飢えに襲われました。
灰色の世界がぐにゃりとひしゃげて、明るい色彩が戻り始めています。
明るくて、暖かくて、きらきらまぶしくて、そして、
・・・・・・目の前のこのウサギは、何て美味しそうなのでしょう。
オオカミはアキラに手を伸ばしかけましたが、
そこで彼の時間は尽きました。
見る間にその姿はぼやけていって、どこか別の所に旅立っていってしまいました。
