〜13〜
オオカミは二人をお腹に入れたまま、
森の奥にゆっくり歩いていきました。
やがてその姿は輪郭がぼやけて、
もやもやとした影のようになっていきます。
そしてふっと、かき消すように見えなくなってしまいました。
オオカミが今いるのは、色のない世界です。
植物は生えず、ごつごつとした岩山や沙漠が広がるばかり。
空はいつもどんよりと曇り、
暖かな日差しもなければ風も吹きません。
食べたり飲んだりする楽しみもなく、
眠りが訪れることもありません。
ここは、人の姿を捨てた者に割り当てられる場所でした。
黒い魔法を使ってしまったら、
自分の国に留まることは許されないのです。
同じ境遇の者が集められたこの土地に、ずっといなければなりません。
ここに棲む者が他にもいるかも知れませんが、
誰とも顔を合わせることはありません。そういう決まりなのです。
何もやることがないのでひどく退屈ですが、
それでも時だけは流れていくので、
いつか寿命が尽きれば別の世界に旅立つことができるのでした。
ヒカルとアキラはオオカミの体内で、絡み合って眠り続けています。
空腹のない世界なので、
お腹の中にいても本当に食べられる危険はありません。
程よく暖かい密室の中で、
二人を眠らせている毒がじわじわと浸み出しては、
オオカミの体に吸収されていきます。
そして少しずつ、肌に生気が蘇っていきました。
