初めて罰ゲームを体験したアキラは、ぐったりと疲れて部屋に戻った。
同室のヒカルは自分が更衣室で着替えている間に姿を消していて、
まだ戻ってきていない。
彼は、明日も罰ゲームの続きをすると言っていた。
自分がなぜ罰を受けなければならないのか未だにわからないのが気になるが、
自宅を出る前に父に言われた言葉を思い出してアキラは耐えた。
「アキラ、お前がこれから暮らす場所にはいろいろな決まりがあるはずだ。
中には奇異に感じるものも含まれているだろうが、
理詰めで理解しようとしてはいけない。
生活に慣れるに従って、追い追い意味がわかるものもあるし、
お前には最後まで納得がいかない規則もあるかも知れない。
歴史のある決まりごとにはそれなりの必然性があるのだよ。
無論、時代の移り変わりに従って意味をなさないものも出てくるだろうから、
改革が必要だと判断したら実行に移せば良い。
しかしまずは、静観するように。
お前には寮で、同じ年頃の者に心を開き、協調することも学んでもらいたい」
猫の耳や尻尾をつけるだけでも屈辱だったのに、女装までさせられるなんて。
アレにまっとうな意味があるとはとても思えないが、
父はこのことを見越していたのかも知れない。
コスプレは無意味だと証明するためには、
罰ゲームを途中で抜けるわけにはいかないのだ。
フルコースやり遂げて初めて、
体験に裏打ちされた重みがボクの言葉に加わる。
シャワーを浴びながらこんなことを考えているうちに、
アキラの心にみるみる闘志がみなぎってきた。
興奮で頬を紅潮させてバスルームから出てくると、
丁度ヒカルが部屋に戻ってきたところだった。
「さっきはお疲れ〜。ショック受けてべそかいてるかと心配したけど、
やっぱオマエ、タフだなぁ。
あれからオマエのことを皆と相談してきたんだけど、
一応、コスプレは3点クリアしたから、
明日からはゲームを公開するのは勘弁してやることになったぜ。
だけど、態度が従順とはいえなかったからな。
これからはオマエはオレが預かることになったから、
次のコスプレはこの部屋で、オレと二人っきりでやること。
異議は認められない。以上。おやすみ、塔矢」
「望むところだ。おやすみ、進藤」
アキラはベッドの中のヒカルを眼光鋭く睨みつけると、
自分も隣のベッドに潜り込んだ。
実際には、アキラの罰ゲームは終了していた。
アキラのコスプレ姿は非常に評判が良くて、
毎晩やらせたいという意見が多かったのを、
ヒカルがうまく言いくるめて止めたのだ。
自分とアキラは既に深い仲になっていることにして、
アキラの恋人兼、保護者の地位を獲得したヒカルは、
その関係を本当にするために、計画を練るのであった。
そして、翌日の晩。
「今度は白ネコ。これに着替えて」
白いレオタードと白いブーツ、ネコ耳、尻尾の4点セットを手渡されると、
アキラはバスルームで着替えてきた。
その姿を見たヒカルは突然、鼻をおさえて真っ赤になっている。

「どうした。証拠の写真を撮らないのか?」
「・・・お願い。これもつけて」
白い小さなエプロンを渡されて、アキラは溜め息をつきながら腰に巻いた。
「これでどうだ」
「うん、ラブリー」
ヒカルは鼻血をティッシュで押さえながら、アキラの白ネコ姿をカメラに収めた。

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