〜「touch me」より抜粋〜






親しい人なら
さわられても平気だけれど、
自分から進んでふれたいと思うほどではない。
よく知らない相手だったら、
可能な限り接触は避けたい。

例外はただ一人。
あの男だけを除いて。

何故だ。
どうして彼の手はこんなにも特別なんだ。
偶然を待つだけでなく、
自分からもふれてみたい程に。


僕はさわってみたい。彼の頬に、唇に。
柔らかそうな髪を巻きつけ、金色の指輪にしてみたい。
…互いの距離を一気に縮めて、
しっかり抱き締め合ってみたい。

そして、―――――






* * * * *






塔矢が好きだ。

ガキの頃、
自分だけを見て欲しくてがむしゃらになっていたけど、
それが既に恋だったのだと
今になってみればわかる。

肩を並べようと必死になって、
世間的にもライバルと認められるようになって、
やっぱり俺は
あいつが好きなんだと実感する。

塔矢がもっと欲しい。
俺をもっと欲しがらせたい。

俺が目指していたのは
塔矢のライバルという立場ではなく、
塔矢そのものを
手に入れることだったんだ。






* * * * *






最初は服の上から撫でていた手は、
いつの間にかゆるめられていた襟元から忍び込み、
胸の柔らかい部分や
敏感な場所をさすらい始める。

抗いがたい快感にうっとりと目を瞑ると
唇が降りてきて、
額や首筋をたどり、
やがて僕の唇にためらいがちに押し当てられた。

「塔矢、ヤじゃない?ダメだったらちゃんと言って」

口づけの合間に問いかけられ、
答えようとしてもすぐに唇でふさがれる。

「…ん……」

抗議しようと目を開けると、
真剣な顔をした進藤と目が合った。