〜23〜
「進藤、キミは無理矢理ボクの体を奪うつもりか」
「あ、・・・・・・」
「これはボクたちの初夜なんだろ?
それにボクが人と肌を合わせるのは、正真正銘、これが初めての経験だ」
「・・・そうだよな。
オレ、オマエを大事にしようと思っているのに、
なんか焦っちゃってケダモノみたいになっちゃうんだよ」
「ボクは逃げたりしない。必ず今夜、キミと契るよ。
せっかくお初温泉に来ているんだから、ちゃんとご利益を頂かなくちゃ」
「あれ、オマエ、お初温泉が何をする所なのか知ってたのか?」
「キミがボクに求めているような意味もあるのは知ってたよ。
だけど本当にキミとこういうことになるとは予想していなかった」
「じゃあ、なんでオレを誘ったの?」
「キミと二人で来て、一生一緒に打とうって約束できたら、それで良かったんだよ。
それだって契りには違いないから。でも」
「でも?」
「・・・きっと心のどこかで、キミともっと深い仲になりたいって思っていたのかも知れないね」
「塔矢vvv」
「こら、ちょっかいを出すんじゃない!
この期に及んで拒んだりはしないから、ちょっと頭を冷やして、少しの間、話でもしないか?」
「うん。でもオレ、黙ってオマエを眺めてるだけでもシアワセだけど」
「それではボクがいたたまれないよ。―――ああ、ここにお初温泉の案内が置いてある。
『千年の歴史の秘湯』、か・・・」
「千年?じゃあ、平安時代からあったってこと?」
「うん。よくわかったね」
「あ、オレのこと思いっきりバカにしてるな。あいにく平安時代にはちょっと詳しいんだぜ、オレ」
「へぇ、意外だな。
じゃあ、ボクたちが平安時代に生きてたとしたら、どんな生活をしてたと思う?」
「え〜と、オマエはやっぱり碁打ちなんじゃねえの?あの時代も碁は盛んだったっていうし」
「うん。でもそれではちょっとつまらないな。今のボクをただ昔に置き換えただけじゃないか。
もっとひねろよ」
「ちぇっ、碁を打ってるだけじゃ満足できねえのかよ。
ひょっとしたらアイツと打てたかもしんねえのに」
「何か言ったか?」
「ううん。じゃあさ、あれは?映画になったやつ。え〜と、そうだ陰陽師!!
あれならカッコイイじゃん。きっとオマエに似合うと思うぜ」
「ふふ、キミにしては上出来だな。じゃあボクは陰陽師として、キミは何になるのかい?」
「う〜ん、オマエと会えないと困るしな。同僚じゃダメ?」
「芸がないなあ。じゃあキミは、検非違使にしろ」
「え、ケ・・・??なんだそれ」
「警察官みたいなものだよ。キミは特別任務を与えられて、ボクと一緒に戦うんだ」
「へ?戦うって、誰と?」
「・・・・・・警官と陰陽師が一緒に戦うっていったら、ただの悪党を相手にするんじゃないね。
平安時代なんだからいっそのこと、妖怪・物の怪退治なんてどうだい?」
「あ〜〜!映画にも出て来たよ!!面白そうじゃん。
オマエが術をかけたりして、オレは刀で戦うってわけだな」
「・・・そして二人はいつの間にか、恋に落ちてしまうんだ」
「・・・・・・塔矢」
アキラはにっこりと微笑むと、振袖を脱ぎ捨てた。