※ ドールフォトストーリーです。人形が苦手な方はご注意ください。
誕 生 日 に は 赤 い 薔 薇 を
め る じ
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それは、進藤が22歳の誕生日を迎えた日のことだった。 イベントに駆り出され、碁石に見立てて白と黒のタキシードを着た僕たちは、仕事が終わるとその格好のまま、予約しておいたホテルに向かった。 進藤が、タキシード姿で誕生日を祝って欲しいと言ったから。 …ホテルに部屋を取って、僕とゆっくり碁を打ちたいって。 君のことだ、イベントが済めば大勢で集まって、賑やかに祝ってもらうのだと思っていたのに。 だから僕は「おめでとう」を言ったら、すぐに帰るつもりだったんだ。 それなのに、本当に意外なことに、招かれたのは僕一人だけだった。 …誕生日にホテルで一晩、二人っきりで過ごす意味。 おまけに、プレゼントには真っ赤な薔薇が欲しいだなんて…! ライバルでありながら、僕たちは特別な思いで結ばれて、互いに執着し合ってきた。 …それを自分にも相手にも隠してきたんだ。 進藤、君だって気が付いているんだろ? そこまでわかっていながら、僕はまだ、この気持ちをどうすればいいのか整理がつかないでいる… チェックインの手続きをする進藤といったん別れて、乱れた心を抱えたまま、僕は花屋に寄った。 プレゼントの薔薇を抱えて目を瞑ると、押し寄せる香りに酔ったのだろうか、足元がふらつく。 そのまま少しの間だけ立ち尽くし、…僕は、彼の待つ部屋へと歩いて行ったのだった。 |

「進藤、誕生日おめでとう」
「塔矢、ありがと。…ちゃんと来てくれたんだ」
「当たり前だろ?さあ、お祝いに一局打とうか」
「お前、相変わらずせっかち」
「なんだ、他にやりたいことでもあるのか?」

「なあ、俺がどうして花なんか欲しがったかわかる?」
「好きだからだろ?」
「…ばーか。俺が好きなのは花じゃなくって、……。あのさ〜、これの花言葉、知ってる?」
「え?……」

「愛情、情熱、熱烈な恋。…私はあなたを、愛します」
「あ、ああ、…そうなんだ」
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僕は動揺していた。 今夜一晩、二人でゆっくり打っていれば、自然とこの恋の道筋も見えてくるかと期待していたのに。 それなのに、君はこんなにも唐突に告白を始めてしまうなんて。 どう返事をしたものか躊躇っていると、いきなりトンと肩を押されて、僕は壁に押しつけられていた。 そのまま腕の自由を奪われ、覆い被さってくる進藤を睨むと、耳元で低い囁き声がしたのだった。 「お前、ちっとは気を付けろよな。こんなものホイホイ贈ってると、気があるんだと勘違いされちゃうぜ」 「でも君は女性じゃないし、薔薇を欲しいと言うから贈っただけじゃないか」 「そうだよ!お前も俺も男だ。でもお前からでなきゃ、誰が喜んで受け取るもんか!!…男でも女でも関係ない」 「…進藤…」 「塔矢、ホントは花言葉くらい知ってたんだろ?有名なやつだもん」 「………」 「俺がお前をどう思ってるかも、わかってるはずだよな?」 「君はいつも何も言わない。何一つ教えてくれない。なのにどうやってわかれというんだ?」 「バカ!言葉にしなくたってわかれよ!!」 |

「…こんなこと、推測だけでは決められない。言いたいことがあるなら、はっきりと言ってくれ」
「じゃあ、お前は?お前もちゃんと、自分の気持ちを教えてくれる?」
「僕、は、……僕にはまだ、どうしたらいいかわからないんだ」
「それなのに、ここに来た?」
「……」

「…キス、してもいい?」
「え?……」
「キスしたい」
「進藤、待って!」
「ダメ。塔矢、愛してる」

はっきり抵抗しないのを承諾と受け取ったのか、
「お前は?」と聞かれたときには、
僕はとっくに押し倒され、抱きすくめられていた。
進藤のあたたかい腕に包まれ、唇を重ねていると、
僕の胸からも熱い思いがこみあげてきて、…
知らず知らず腕を伸ばして、
彼の背中にしがみついてしまっていた。
「うん。僕も愛してる」
苦しい息継ぎの合間にこう呟いたつもりだけど、
彼の耳に届いたかどうかはわからない。
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もう何年も膠着状態が続いていたのに、一度堰を切った情熱のうねりは何もかもを一瞬で押し流して、僕たちは最後の一線をあっさりと越えることになってしまった。 これから同じベッドに入って、すべてを晒して愛し合う。 …きっと僕は進藤に抱かれて、この身に彼を受け入れることになるんだ。 今まで男女のことには無縁できたのに、いきなり同性と寝ることになるなんて… 本能に任せたままでうまく行くのだろうか? 失敗して気まずい思いをしたり、無理をして怪我をしたりするかも知れない。 そんなことも考えながら、すべてを承知の上で、それでも僕の心は不思議と凪いで、一枚また一枚と彼の手で脱がされながら、圧倒的な幸福感に満たされていたのだった。 「進藤、そういえばどうしてタキシードにこだわったんだ?服装に何か意味があるのかい?」 「誕生日にタキシードを着ることになったのは偶然だよ。だけどお前に告白するんだもん、正装の方が気が引き締まるじゃん。それに、…」 「それに?」 「なんか、結婚式みたいだろ?男同士じゃ、二人ともタキシード着るしかねえし」 |
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「初めてのキスが結婚式の誓いのキス?」 「悪いかよ」 「あれは僕のファーストキスだったんだ。これではまるで箱入り娘だな」 「お前はそれでいいんだよ!…それに俺だって初めてだったんだし」 「ふ〜ん。見えないとこで遊んでると思ってた」 「小学生でお前に会っちまったんだ。よそ見してる暇なんてあるもんか」 「後悔しても知らないよ?こうなった以上、僕は浮気は許さないから」 「塔矢アキラを俺のもんにするんだ。結婚前提で付き合う覚悟はできてる」 「…そうか、それならいい。一生を誓い合ったと思っているから」 「それじゃこれからするのが、初夜ってやつだな」 「……!!」 |

薔薇の花どころか、自分のすべてを進藤に贈ることになって、
正直言って戸惑いはあるけれど、
展開の早さに驚いているだけのことだ。
これは確かに僕自身の望みでもあったのだと、
彼のぬくもりに包まれてしまえばその気持ちに揺るぎはない。
…この部屋に足を踏み入れた瞬間に、
僕の気持ちも決まっていたということなんだろう。
ハッピバースデー、進藤ヒカル。
いつかきっと、本当の結婚式を二人で挙げよう……

開催ありがとうございます!
今年も参加させていただけて嬉しいですv
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