気がつくとボクはすっかり裸にされていて、
よっぽど汗をかいたのか、髪が額や頬に貼りついていた。
肌も妙にべたついていたので、すぐにシャワーを浴びたくなった。
でもゲームの途中で勝手はできないから進藤に許可を求めると、
彼は黙って僕を立ち上がらせて、そのまま浴室までついてきた。
頭がふわふわして体がふらつく。
進藤はボクを抱きかかえると、
文字通り頭のてっぺんから爪先まで、それはていねいに洗ってくれた。
ボクも彼の肌に触れたかったのに、厳しく止められてしまった。
「我慢できなくなるから」と言われて「何を?」と聞くと、
あきれたような嬉しいような顔で笑うだけで教えてはくれなかった。
それからバスタオルにくるまれたまま、進藤のベッドに連れて行かれた。
「塔矢、このままオレとゲームを続ける気持ちに変わりはない?」
「当たり前だ」
「そっか。え〜と、テストの結果は百点満点だよ」
「・・・進藤、さっきはどうしてゲームを終わりにしようなんて言い出したんだ?
本当の理由を教えて」
「・・・・・・あのさ、オマエが嫌々コスプレしてるうちは、
深みにはまる手前で止められるから大丈夫だって思ってたんだ。
だけどオマエがのめりこんでいくのがわかって、このままだと抜け出せなくなると思ったから」
「抜け出すって、コスプレから?」
「オマエがコスプレにはまるのは別にいいよ。
だけど、オマエがコスプレを気に入ってしまったら、簡単にはゲームをやめられないだろ?
オマエを納得させるために、ちゃんとした理由を説明しなくちゃなんない。
今夜を逃したら止めるきっかけが無くなりそうだし、
毎晩あんなことやってたら、いつかオレの我慢がきかなくなるから。
オマエにもっともっと色っぽい格好をさせたいけど、
そんな姿を目の前にしてたら、見境がつかなくなるに決まってるだろ?」
「キミが見境がつかなくなって、我慢できなくなってしまったら、一体どうなるというんだ?」
「それを知りたい?」
「うん」
「知ったら後悔するぜ、きっと」
「それでもいい。キミのことは何でも知りたいんだ」
ヒカルは深い溜め息をついた。
「こうなるのが怖かったから、止めようって言ったのに。
でも、そもそも内緒で罰ゲームを続けたオレが悪いんだよな。
・・・・・・塔矢、オマエ、最近ちゃんと眠れないって言ってたよな?
これからオレが、ぐっすり眠れる方法を教えてやるよ」
その晩ボクが経験したのは、まったく知らない世界だった。
男女の営みについてなら多少の知識はあったけれど、
男同士でのことなどまったく不案内だったのだ。
ベッドの中でボクが受け持ったのは「ネコ」と呼ばれる役だと聞いて、
進藤がボクにネコのコスプレをさせた理由がわかった気がした。
ボクがこのところ抱えていた「モヤモヤ」の正体が明らかになり、
毎晩、進藤のおかげでよく眠れるようになって、
ボクは今、寮での生活をとても楽しんでいる。
寮を離れてもこの充実感を失いたくはないから、
進藤を生涯のパートナーにしようとボクは心に決めた。
だからコスプレだけでなくベッドの技も、毎日、一生懸命に磨いて精進しているんだ。

おしまい